ワインに健康効果があるといわれている理由は?

ワインの健康効果は昔から叫ばれていますが、「ワインと健康」に関連するさまざまな研究は今も世界中で行われ続けています。

今回、なぜ「ワインと健康」が結びついたのか簡単にまとめてみました。

ワインと健康の関係性について気になっている方は、ぜひ参考にしてみてください。

フレンチパラドックス

ワインの健康効果説が話題になったきっかけが、フランス人科学者S.ルノー氏が提唱した「フレンチパラドックス」といわれています。

パラドックスは、“逆説”などを意味する言葉であり、“フランス人の生活習慣における逆説”的な論文として話題になりました。

フランス人は肉やバターなど動物性脂肪摂取量が多く、本来であれば不健康になりそうなイメージです。

しかし、これらが関連する心筋梗塞や狭心症、虚血性疾患における死亡率が近隣諸国より低く、それが赤ワインの影響があるのではないか…というものでした。

近年、この説に異論を唱える方も多いようですが、“赤ワインは健康によい”というイメージがついたのがこの説からというのは信頼できそうです。

ポリフェノールの抗酸化作用

ワインの健康説に欠かせないのが、ポリフェノールです。

ポリフェノールとは、植物に存在する苦味や色素の成分ですが、ブドウの果皮や種子に多くふくまれていることからワイン(赤ワイン)には多くそれが含有されています。

ポリフェノールと一口にいっても、アントシアニンやレスベラトロール、カテキン、タンニンといった種々のポリフェノールがありますが、基本的な健康効果として「抗酸化作用」が期待されているようです。

赤ワインにふくまれているポリフェノールには、細胞を傷つける活性酸素種を除去する抗酸化作用があるため、それが「赤ワイン=健康効果」というイメージさらに強固なものにしました。

さらに近年、レスベラトロールの健康効果も注目されています。

レスベラトロール

レスベラトロールもポリフェノールの一種ですが、悪玉コレステロールの参加による動脈硬化をも押さえるといった機構が示唆されました。

さらにレスベラトロールには長寿遺伝子を目覚めさせるという情報やオキシトシンが活性化するなど、その健康効果が世界的に注目されています。

赤ワインのポリフェノールを摂取することで、胃がんの原因であるピロリ菌の抑制、認知症の予防などにも効果が期待される…。

否定説も…

“赤ワインを飲めば健康になる”と思い込み、何がなんでもワインという方も中にはいるようですが、やはりこの説を否定する説も多く出てきています。

まずイタリアのキャンティでおこなわれた大規模調査によると、血中レスベラトロール濃度と炎症、がん、循環器系疾患、死亡率の間に相関性はほとんど見られなかったというもの。

さらに、フランスにてワイン消費率が下がっても死亡率に変化がなかったなどいろいろです。

また、ワイン消費量がフランスと比較して特段少ない日本で虚血性疾患での死亡率が低いため「ジャパニーズパラドックス」という言葉まで生まれています。

ワインはアルコール飲料なので、適量嗜めば血管拡張効果があり、それによる種々の健康効果は期待できるでしょう。

何かしらの効果はありそうですが、「絶対に赤ワインや白ワインは健康にいい!」というところまでは答えが出ていないのが現状のようです。

楽しく適量に飲めばストレス解消に!

ワインは健康になるといわれているから飲む、というのもひとつの手段でしょう。

しかし、ワインに絶対的な健康効果があるとすれば、「素敵な人たちと楽しく、適量のワインを飲む」ことによるストレス解消かもしれません。

とにかくワインは楽しく、適量を守って飲むこと。

深く考え過ぎず、「健康になったらいいな」程度の認識で楽しめばよいのではないでしょうか。

参考

お酒を120%楽しむ 田村隆明 著

-ワインコラム