赤ワインの渋みは触覚?タンニンの基礎知識やワインの渋みについて!

多くの赤ワインには渋みを感じます。

この渋みのもとはポリフェノールの一種である、「タンニン」ということで有名ですが、タンニンは“味”ではありません。

今回、タンニンの基礎知識をはじめ、渋みは「触覚」である…という話をお伝えしていきましょう。

フラボノイドとフラボノール

ワインに苦みを与えるのは、ポリフェノールのフラボノイドの中の「フラバン-3-オール」と呼ばれる化合物。

その中でも苦みに重要な影響を与えているのがタンニンです。(フラバン-3-オールがひとつの高分子鎖に連なっているもの)

タンニン…と一口にいいますが、タンニンは「タンニン類」と分類されており、構造が複雑で画一化することが難しい化合物として知られています。

“熟成されたワインは、タンニンがまろやかである”ともいわれますが、要するにタンニンは常に構造を変化させるため実態が掴みにくい…と考えられます。

ちなみに、タンニンの話が出るとアントシアニンという言葉も出てくることが多いですが、こちらはフラボノイドではなく、“フラボノール”と呼ばれる化合物のひとつ。

赤ワインの、“赤色”に関連するポリフェノールであり苦みには関与しません。

あらためてになりますが、苦みに関連するポリフェノールはタンニン。

そう覚えておきましょう。

少量でも強烈な渋み

熟成を目的に造られたボルドーワインがあるとします。

仮に熟成2年目の状態で口にすれば、そのワインはギシギシで飲みにくく、とても硬い印象を感じるはずです。

“このワインはタンニンまみれで飲めない!”と思われるかもしれませんが、じつは赤ワインに含まれているタンニンは全体から見ると大変少ないことで知られています。

一例ですが、一般的な赤ワインの構成をみてみましょう。

・水=86%
・エタノール=12%
・グリセロール=1%
・有機酸=0.4%
・タンニン&フェノール=0.1%
・その他の化合物=0.5%

さて、どうでしょうか。

なんと、全体の0.1%に満たない量しかタンニンなど苦みに関連する成分はふくまれていないのです。

ちなみに熟成させると苦みが減少する理由は、赤ワイン中のタンニンが酸素などと結合することで鎖が長くなり沈殿するため…と考えられています。(アントシアニン量も減るため、色が淡くなる)

熟成を経た場合、よりタンニン量が減るわけですがそれでも渋みは感じる…。

ごく少量ではありますが、タンニンはワインに多大な影響を与えていたのです。

渋みや触覚

このワインは、「渋い味がする」。

普段、そこまで赤ワインを飲み馴れていない方が発するコメントの定番ですが、冒頭でお伝えした通り渋みは、「味」ではありません。

「甘味・酸味・苦味・塩味・うま味」といえば、基本五味として有名ですがこの中に渋みはないため、味として認められているわけではなさそうです。(研究中なので難しいところですが…)

では、渋みを感じるのはなぜか…。

じつは、私たちの唾液中にあるPRPとHRPという成分とタンニンが結合することで沈殿物がつくられ、それが触覚として渋みを感じさせているというのです。

ワインのほか成分との関係性

さて、ここでひとつ疑問が出てくるかもしれません。

例えば、目の前にある銘柄の違う赤ワインが2本あったとして、同じタンニン量であっても、渋みの感じ方が違う場合があることです。

じつはこの渋みの感じ方はワインにふくまれる成分や酸度、アルコール度数によってもかなり変わってくるそうです。

pHが低いワインは渋みを強く感じたり(酸度が高い)、アルコール度数が高いと渋みは弱く感じる、成分量が多いワインの場合はタンニンが和らぐ…など。

タンニンのあの苦味が好き…という方の場合はあまり要素の多過ぎない繊細な赤ワインを選ぶとよりそれが感じられるかもしれません。

ワインの渋みに興味を持つ

タンニンや渋みについて真剣に考える機会は少ないかもしれませんが、この渋みが美味しさに直結するのがワインの魅力です。

チョコレートやお茶もそうですが、苦いのにおいしい…と感じる食品はまさに大人の味。

ぜひ、暇な時などにタンニンや渋みについて考えてみてはいかがでしょうか。

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