シャンパーニュがお好きな方も多いでしょう。
シャンパーニュの魅力といえば、見た目の美しさや味わいの素晴らしさですが、繊細な“泡”も魅力のひとつです。
じつはこの泡。
私たちがシャンパーニュをテイスティングする際の風味に大きな影響を与えていることをご存知でしょうか。
ここではシャンパーニュの泡が風味に関係しているという話を解説していきたいと思います。
シャンパーニュの泡について
まず、シャンパーニュなどのスパークリングワインの泡について考えましょう。
これらのワインは製造の都合上、ワインの液中に二酸化酸素が溶解するため、“発泡性”となります。
一部、日本国内で販売されているワインはカーボネーションと呼ばれる技法(炭酸ガス注入法)で造られていますが、これらワインの気圧は2.5〜3.8気圧程度。
一方、伝統的な瓶内二次発酵で造られるシャンパーニュなどの気圧は5〜6気圧ほどなので、その気圧は倍近く違うことになります。
よく、“低質なスパークリングワインは時間が経つと泡が抜けてしまう。一方のシャンパーニュはいつまでも泡が続くから上質だ”と聞かないでしょうか。
じつは圧力が高くなればなるほど二酸化炭素が溶解しやすくなるため、カーボネーションに比べて瓶内二次発酵のシャンパーニュは多くの炭酸を含むことになります。
抜栓後、ワイン中に溶解していた炭酸ガスの8割は空中に抜けていき、残り2割がワイン液中に残存。
つまり、シャンパーニュにはもともと多くの二酸化炭素が溶解されているため泡がいつまでも続き、そうでないスパークリングワインは泡がすぐに無くなってしまうのです。
シャンパーニュの風味が泡に?
さて、ここから本題に戻ります。
シャンパーニュといえば、その素晴らしい香りです。
セパージュや熟成期間にもよりますが、主にフルーティーさや柑橘系の爽やかな香り、ピーチ、花、香ばしさ、メタリックなど多種多様な香気成分を含んでいます。
素晴らしい熟成を経たシャンパーニュのナッツのような香ばしさは恍惚とした気分にさせてくれるものです。
さて、これら風味はシャンパーニュの液体から感じていると思われていますが、じつはこれら風味はシャンパーニュの“泡”にも含まれているといいます。
見た目の美しさに目を奪われていた方も多いでしょうが、じつは“味わい”にも影響を与えているようです。
シャンパーニュの泡がはじけることで香りが豊かに!
シャンパーニュが0.1ℓ入ったワイングラスには、およそ2000万を超える泡がふくまれているといわれています。
その無数の泡がグラスの底から立ち上ってくる姿は、まさに神秘的な美しさといっても過言ではありません。
さて、前述したようにこの泡はグラスに注がれたシャンパーニュの液面に到達した時に弾け、飛沫として中空に飛散します。
この弾けた飛沫の中には前述したシャンパーニュ特有の香りがふくまれており、大変芳香に役立っているというのです。
さらに面白いことに泡にはシャンパーニュそのものの液体には含まれていない構造の香り分子が存在するようで、私たちはテイスティング中にその香りを無意識にキャッチしているとのこと。
ほかのスパークリングワインと比較してシャンパーニュが芳香高く感じること、さらに熟成を経た上質なシャンパーニュが素晴らしいと思える秘密は、この泡にふくまれる芳香成分にあるのかもしれません。
シャンパーニュの泡も美味しさの秘訣!
シャンパーニュをグラスに注いだ瞬間、液表面でプチプチ弾ける泡を鑑賞し続ける方も多いでしょう。
しかし、あの時こそ香りがたっぷりと放出されているため、たまにはすぐに香りを楽しんでもいいかもしれません。
シャンパーニュの美味しさは泡にもアリ。
ぜひ、覚えておいてください。