ボルドーのワインには、ペサックレオニャンのシャトー・オー・ブリオンを含めた、メドック地区の61シャトーに1~5級までの格付が制定されている、『メドックの格付』があります。
ほか、グラーブの格付、ソーテルヌ&バルサックの格付、サンテミリオンの格付などがありますが、じつは「クリュ・ブルジョワ」という格付も存在します。
ここでは、「クリュ・ブルジョワ」について解説していきたいと思います。
クリュ・ブルジョワについて
クリュ・ブルジョワは、メドック地区のシャトーを対象にした、1932年にスタートした格付。
1855年のメドック格付に漏れながらも、品質の高いワインを造るシャトーを対象にした格付制度とされたもので444のシャトーが選ばれてスタートしました。
ただし、同格付けは省庁の認可を受けたものではなく、メドックの格付に漏れた当時のシャトーオーナーたちが売り上げの減少を恐れ、自らのワインにも付加価値をつけるべく仲買人に頼み込んだ結果、ボルドー商工会議所とジロンド県農業会議所の権威のもとで発表されたものでした。
そういった背景があるのか、不動であるメドック格付とは対照的に戦争などの影響で、クリュ・ブルジョワのシャトーの数が激減。
消滅の危機もあったようです。
問題も勃発
1900年代の後半、こういった現状を打破するべく、「クリュ・ブルジョワ」に法的なステータスを持たせようという運動がスタート。
その結果、2000年11月30日付けの農務省の省令で、「クリュ・ブルジョワ」の詳細な規定が定められます。
その後、490ものシャトーからの正式な申込がありましが、2003年に政府から発表された新クリュ・ブルジョワのリストに選ばれたのは約半数の249シャトーだったそうです。
さらにそれらシャトーは、「クリュ・ブルジョワ・エクセプショネル」、「クリュ・ブルジョワ・シュペリウール」、「クリュ・ブルジョワ」の3つのカテゴリーにわけられます。
しかし、この結果に不満を持ったのがリスト漏れとなったシャトー。
彼らが大きな問題を起こします。
2003年のリスト作成における八百長疑惑が叫ばれた、クリュ・ブルジョワ。
これを受けてクリュ・ブルジョワ連盟は、メドックの8つのAOCの生産者を対象とし、仕様書を遵守すること、第三者機関の訪問調査を受けることなど、非常に厳しい審査を通過することが義務付け。
今までの3つのカテゴリーは無くし、「クリュ・ブルジョワ」というひとつのスタイルとなりました。
今後に期待!
2009年11月の政令でクリュ・ブルジョワが新体制となり復活を遂げたクリュ・ブルジョワ。
しかし、新体制となってからは全てのシャトーが同じステータスという見方になったことから、玉石混淆な状態を避けるため有力シャトーが去っていくことに。
こういった状況を受けてか、2016年にクリュ・ブルジョワ連盟は、2020年までに3段階からなる新格付制度を導入することを発表。
なかなか落ち着かない格付けながら、常にそのあり方がブラッシュアップされていると考えると、“今ボルドーで最も旬なシャトー”が選ばれているとも考えられます。
まだまだ紆余曲折がありそうですが、今後の動向にも注目していきましょう。