ワイン初心者の方の中には、“賞味期限”について気になっている方がいるようです。
結論からいえばワインに賞味期限はありませんが、“飲み頃”は存在します。
ここでは、ワインの賞味期限について解説していきましょう。
ワインに賞味期限がない理由
未開封のワインを100年放置していたとしても、腐ることはありません。
例えば、“100年もの”といわれるワインもあるように、有機酸やポリフェノールなど天然の防腐剤のような働きをする成分が数多く含まれているからです。
“ワインがカビたことがある”という方もいるかもしれませんが、それは開封後に微生物や細菌が入り込んだか、コルクの隙間からそういった物質が入り込んだから。
正常に造られたワインそのものから腐っていく…ということはないのです。
飲み頃について
“腐っていないとは思うけれど、飲んだらえらい酸っぱかった”。
こういった経験をした方もいるかもしれません。
ワインに賞味期限はありませんが、“飲み頃”は存在します。
例ワインはブドウ品種、土壌、収穫年、醸造方法によって個性が変わってきます。
カベルネ・ソーヴィニヨンをしっかりと抽出したタンニン豊富な赤ワインと早めに摘んだデラウェアを使った白ワインであれば、明らかに飲み頃が違うことが理解いただけるでしょう。
例えば前者であれば2〜5年は熟成したいところですし、良質なカベルネ・ソーヴィニヨンであれば10年以上の熟成に耐えるはずです。
ワインは熟成させることでポリフェノールや有機酸などの化学成分が変化していき、徐々にまろやかになっていきます。
しかし、この熟成がピークを超えてしまうと酸度が強く感じるようになったり、果実味が無くなったり“美味しい”と感じられないワインになってしまうのです。
5年ほどが飲み頃といわれていたピノ・ノワールを20年後に抜栓した場合、やはり酸が際立ったり香りもほとんどヒネてしまっていることから美味しくなくなるでしょう。
ワインはいつ飲むのかによって味わいが変わるため、賞味期限より飲み頃を意識した方がよいのではないでしょうか。
飲み頃の目安
ワイン産地や品種、生産者の意図によって飲み頃は変わってきますが、1,000円から2,000円程度のワインであればこのあたりが飲み頃でしょう。
- 赤ワイン 2から3年以内
- 白ワイン1から2年以内
- ロゼワイン1から3年以内
- ヌーヴォーなどの新酒 6ヶ月以内
一方、高級ワインとして造られているものの場合、良質なブドウを使い丁寧に醸造されていることから、これ以上に熟成させることも可能です。
例えば、ボルドーやブルゴーニュのグラン・クリュであれば、20年以上熟成させることを目的に造られています。
しかし、“この産地のこういったヴィンテージのブドウが使われているから…”と、判断できるのは素人ではなかなか難しいところ。
生産者と直接やり取りできるのでなければ、ショップのスタッフやソムリエに聞いてみるのが良いのではないでしょうか。
飲み頃を過ぎたワインの使い方
抜栓した後、ワインを飲んだら美味しくなくなっていた。
つまりそのワインは飲み頃を過ぎてしまったわけですが、こういったものは捨てるしかないのでしょうか。
前述したようにワインに賞味期限はないため、これを飲んだことで体調を崩すことはありません。(美味しくないものを飲んだショックでストレスが溜まり、お腹をくだすことはあるかもしれませんが)
そのためおすすめは、「料理酒」として利用するか「サングリア」など混成酒に利用するとよいでしょう。
カクテルもいいのですが、ワインの味わいが劣化していることからあまりおすすめできません。
リキュールやハチミツ、シナモン、果実などを漬込むような混成酒であれば、ワインの品質はあまり関係ないため、こういったものに使うと美味しく消費することができるでしょう。
まとめ
ワインに賞味期限はありませんが飲み頃がある、ということをお伝えしてきました。
ちなみに安価な早飲みワインは冷蔵庫や気温の低い暗所での保存で問題ありませんが、ある程度自宅で熟成させることができるワインの場合、「ワインセラー」での保存をおすすめします。
ワインはとても繊細であることから、その飲み頃に合わせて保存するのが素人ではなかなか難しく、気がつくと飲み頃が終わっていた…ということにもなりかねません。
あらためて、「ワインは生き物である」ということを意識しながら、ワインと付き合っていきましょう。