シャルドネとソーヴィニヨン・ブランに次いで人気の高い白ブドウ品種が、リースリング。
アロマティックな香りとシャープな酸、独特の風味を楽しめる高級品種です。
ここでは、初心者の方にもわかりやすいように「リースリング」について解説していきます。
ぜひ、ワイン選びの参考にしてみてください。
リースリングとは!?
リースリングとは、ドイツやフランス アルザス地方で多く栽培されている白ブドウであり、辛口から中甘、極甘口など多種多様なスタイルのワインを生み出すことで知られています。
一般的に冷涼な地域を好む品種ですが、やや温暖な産地にも対応することからオーストラリアやチリ、カリフォルニアなど幅広い産地で栽培されているようです。
粘板岩土壌や石灰質土壌など水はけのよい土壌を好み、条件が整うことでシャルドネに対抗しうる高品質なワインが生まれると考えられています。
ちなみに、ブドウ品種には「別名(シノニム)」が存在していますが、リースリングもドイツでは「ヴァイサー・リースリング」、「ライン・リースリング」、アメリカでは「ホワイト・リースリング」、「ヨハニスベルク・リースリング」という別名があるので覚えておくとよいでしょう。
醸造の特徴は?
詳しくは後述しますが、リースリング最大の特徴はそのアロマティックな香りと酸度の高さです。
香り豊かなワインであることから、ヴァニラの香りなどをたっぷり付与する新樽での熟成には向きません。
その個性を表現するために、一般的にはステンレスタンクで醸造されるようです。
ただ、リースリングで高級ワインを造る生産者の中には酸素を透過しにくい大樽で発酵・熟成を利用する片が多く、「酸化しにくい&澱との接触による養分の溶解」などがメリットと考えられています。
また、リースリングは酸度が高いとお伝えしました。
甘口ワインは甘いだけでなく引き締まった酸味も重要です。
そういった意味からリースリングは上質な甘口ワインに適したポテンシャルを持っており、実際にドイツやフランス アルザスでは素晴らしい甘口ワインが多く存在しているのです。
リースリングの香りの特徴
リースリングはマスカット系のブドウ品種にカテゴライズされており、“華やかな香り”を特徴としています。
マスカット系ブドウ品種特有の香りに寄与しているのが、「モノテルペン」と呼ばれる化合物の一群で、リナロールやゲラニオール、ネロールなどがとくに知られています。
リースリングにも幅広いモノテルペンが含まれていると考えられていますが、とくに重要視されているのがリナロールというバラや花の香りに関連する化合物が多く含まれており、ドイツのものはとくに含有量が多いそうです。
また、リースリングには灯油のようなペトロール香が出てくることもあり、良い熟成を経ている指標として考えている方もいます。
この灯油の香りは、TDN(トリメチルジヒドロナフタレン)と呼ばれる成分で、リースリングには多く含まれています。
リースリングの熟成香として捉えられてるものの、高温劣化によるものという指摘もあるなど、灯油香が強過ぎるものは近年、避けられているようです。
リースリングのテイスティング
リースリングをテイスティングしてみましょう。
色合いは白ワインの中では淡いものが多いですが、熟成を経たものだとやや黄身がかった色合いになります。
白桃や黄桃、白いバラ、ユリなど華やかなアロマ。
中にはペトロール香や蜜入りリンゴ、柑橘を思わせる香りがあるリースリングも見受けられます。
丸みのあるアタックにキレのある酸味、複雑な余韻も特徴的です。
若いリースリングの場合、若干の発泡を残し、さらにフレッシュな印象に仕上げられることも多いかもしれません。
リースリングは和食との相性が良い
リースリングは、ドイツ料理やアルザスの郷土料理などを合わせるとよいですが、その特徴から和食との相性がよいといわれています。
華やかな香りではあるものの甘ったる過ぎるものではなく、日本酒のようなフルーティーな香り。
またほどよい酸味やミネラリティを感じられるため、数あるブドウ品種の中でも比較的和食と合わせやすいと考えられています。
白身魚の塩焼きや天ぷら、お塩でいただく白身魚などの刺身、だしを使ったお料理などとの相性はとくに良いでしょう。
リースリングは、普段使いしやすい品種でもあるため、ぜひ挑戦してみてはいかがでしょうか。
リースリングは使い勝手がイイ
リースリングは、辛口タイプから甘口タイプまで揃っている多様性に溢れたブドウ品種です。
また、前述したように和食との相性がよく、特別な日だけではなく日常使いもしやすいところがポイントでしょう。
和食店にワインを持ち込む際など、リースリングは活躍してくれるかもしれません。
リースリングを知ることで、ワインのある生活の幅が広がります。
ぜひ、ご自身のワイン選びのひとつの選択肢としてストックしておいてください。