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TYC Wine Club

カリフォルニアワインの歴史シリーズ 第一部

新世界ワインの筆頭である、ワイン大国アメリカ。そのアメリカ全土で生産されるワインの約80%を生産する産地が「カリフォルニア州」です。

3,900を超えるワイナリーと6,000近いワイン用ブドウ栽培農家を有する世界きってのワイン銘醸地としても知られています。

さて、「西のニューヨーク」などと呼ばれているカリフォルニア州。

ワインにおいては、“新世界”と謳われながらもそのワイン造りやブドウ栽培には長い歴史を持ち、さまざまな国との関係性が今のカリフォルニアを形成しています。

TYCワインクラブではカリフォルニアワインの歴史を三部作にして解説。

まずは第一部をご覧ください。

スペインと「ミッション種」

20世紀以前、フロリダ半島をふくむメキシコ以南を植民地化していたスペイン。

18世後半頃、フニペラ・セラ神父率いるフランシスコ修道会は先住民の改宗を目的にメキシコから北上し、太平洋沿岸地域に21の伝道所を築いたといわれています。

この時にセラ氏はカリフォルニア内にアメリカのおける最初のワイン畑の開墾。

そして修道会を意味する「ミッション種」からワインを造り始めますが、事実上これがカリフォルニアにおける最初のワインとなったといわれています。

スペインのリスタン・プリエートに遡るブドウ品種であるミッションは、後に伝道所からカリフォルニア各地に伝播。

さらにミッション種は、カリフォルニアはもちろんアメリカの土地に初めて植えられたヴィティス・ヴィニフィラといわれるなど、カリフォルニアワインの歴史を語る上で欠かすことができない品種なのです。

ちなみに、スペインからのキリスト教修道会による開拓やメキシコ人による植民の歴史の影響を色濃く受けたカリフォルニア。

ブドウ栽培やワイン製造だけでなく、カリフォルニアには今もなおスペイン語に由来する地名が多かったり独特な建築様式が今も色濃く残っています。

ロシアとの関係

19世紀初頭、今度はロシア人がカリフォルニアに影響を与えます。

当時、カナダやアラスカで毛皮貿易で進出していたロシア。

その中でカリフォルニアに南下していき、ボデガ湾の北部に「ロシアの砦」を意味する拠点フォート・ロスを築きます。

じつはこの場所がカリフォルニア州きっての銘醸地であるソノマ・カウンティであり、ここに同カウンティ最初のブドウが植えられたといわれているのです。

ソノマ・カウンティには、ロシアン・リヴァーという冷涼な産地がありますが、ここに多くのロシア人が入植したことが由来ともいわれています。

スペインとの関係がとくに語られますが、ロシアとの関係性もあったことは忘れてはいけない部分でしょう。

カリフォルニア州の誕生と初の商業用ワイン

スペインやロシア、メキシコなどさまざまな影響を受け続けたカリフォルニア。

しかし、1821年にメキシコがスペインから独立したことにより、当時の宣教師たちはスペインへの引き揚げを余儀なくされます。

その結果、カリフォルニアは「第一メキシコ帝国」という共和国の位置づけでメキシコ保有のもとで存在していました。

しかしメキシコの覇権も長くは続かず、アメリカ西部への勢力拡大をすすめるアメリカとの間で戦争が勃発。1846年にアメリカが勝利した結果、1850年にアメリカの31番目の州としてカリフォルニア州が正式に認められたという歴史があります。

そんなメキシコとのさまざまな関係があったカリフォルニア。じつは、この「第一メキシコ帝国」の時代が終わりを告げてから商業用ワインの発展がスタートします。

まず、商業用ワイン造りがスタートしたのは1830年頃。

ボルドーからやってきたジャン・ルイ・ヴィーニュという人物がフランスよりブドウの苗を持ち込み。ダウンタウン・ロサンゼルスにブドウ畑を開いたことに始まるとされているようです。

ちなみに、カリフォルニアきっての銘醸地であるナパ・ヴァレーに多くの入植者たちがやってきたのもこの頃。

それ以前は、ワッパー族という先住民が住む土地だったといわれています。

少しずつカリフォルニアにブドウ畑が増えていく中、ついにアメリカはゴールドラッシュの時代に突入します。

ゴールドラッシュの時代

1848年、北カリフォルニアで金鉱が発見されます。

その情報を耳にしたことで、カリフォルニアにはヨーロッパなどから移民が大勢押し掛ける結果に…。

カリフォルニアはゴールドラッシュの時代に突入しました。

さて、この移民の中にはワイン造りに長けている人々も多く、優良なブドウ苗が多く持ち込まれたといわれています。

ご存知の通り、カリフォルニアはアメリカ西部と比較してワイン用ブドウ栽培に適した土地であることから優良なワインが大量生産され、カリフォルニアのワイン産業は発展を遂げることになります。

カベルネ・ソーヴィニヨンやソーヴィニヨン・ブランなど、海外品種ながら優れたワインが多く生まれる土地であることがこの時に実証されたのではないでしょうか。

しかし、なにごとにおいても蜜月は長く続かないものです。

この後の19世紀末、カリフォルニアはもちろん世界のワイン産業を恐怖の底に陥れる、フィロキセラ禍が発生することになるのです…。

カリフォルニアワイン発展の歴史

第一部では、カリフォルニアのワイン造りのスタート、さまざまな国との関係性、ゴールドラッシュでの発展についてお伝えしました。

第二回は、カリフォルニアワインのある意味での暗黒時代。そして、それをどういった形で打破していったのか…お伝えしていきたいと思います。