TYC WIne Club一押しのシャンパーニュ「ヴィクトワール」。
ブドウ栽培から瓶詰めまで徹底したこだわりを持つシャンパーニュメゾンです。
さて、今回TYC WIne Clubが注目したポイントが、「テート・ド・キュヴェ」という言葉。
じつは同ブランドの、〈ブリュットNV〉、〈ロゼ・ブリュットNV〉、〈ブラン・ド・ブランNV〉はテート・ド・キュヴェのみで造られており、かなり贅沢な1本となっています。
ここでは、テート・ド・キュヴェについて簡単に説明していきます。
シャンパーニュは圧搾にこだわる?
テート・ド・キュヴェとは、シャンパーニュ製造における圧搾から得られる最初の搾汁のことです。(ラ・キュヴェとも呼ばれる)
詳しくは後述しますが、シャンパーニュでは高い品質を保持するため収穫したブドウから圧搾される搾汁にも大変厳しい規定が設けられています。
1718年にシャンパーニュの製造方法を明らかにした司教座聖堂参事時会員ドディノ氏の著書「ブドウ畑の耕作方法とシャンパーニュワイン製造方法」によると…
白ワインは黒ブドウから造る場合は涙のように透明でなければいけない。ブドウを収穫してから圧搾するのは早ければ早いほどにワインは白くなる…
と述べられています。
シャンパーニュでは、収穫されたブドウは1秒でも早く新鮮なうちに圧搾を行うことが大切とされており、傷んだブドウは決しては使わない…という精神が古くから伝えているのです。
テート・ド・キュヴェとは?
シャンパーニュの圧搾単位は原料ブドウ4,000kgと定められています。(現地では伝統的に1マルクと呼ばれています。※数量は例外あり)
各メゾン、圧搾前には必ず原料ブドウの重量を計量することが義務づけられているため、ごまかすことはできません。
それだけ、シャンパーニュは圧搾に力を入れているのです。(瓶内二次発酵よりこちらに気を使っているメゾンが多いともいわれています)
さて、そんなシャンパーニュ。
原料ブドウの圧搾回数も定められているのですが、そのうちの一番搾り分が「テート・ド・キュヴェ」と呼ばれています。
大変贅沢な果汁であり、各メゾン特別なシャンパーニュにしか使用されていません。
ちなみにシャンパーニュではAOC認定における規定で、160kgのブドウから得られる102ℓの清澄化された果汁のみが認められるため、4,000kgの原料ブドウからは2,550ℓが限度。
原料ブドウにおける最大圧搾率63.8%分の果汁がテート・ド・キュヴェとして仕込みに使われている計算になります。
ヴィクトワールの〈ブリュットNV〉、〈ロゼ・ブリュットNV〉、〈ブラン・ド・ブランNV〉は、このテート・ド・キュヴェのみで造られているシャンパーニュ。
だからこその品質の高さなのです。
プルミエール・タイユとルベッシュについて
ちなみに、テート・ド・キュヴェを搾った後の二番搾りは「プルミエール・タイユ」と呼ばれます。(タイユとも呼ばれる)
メゾンにもよりますが、基本的にプルミエール・タイユはプレステージシャンパーニュに使用されることはなく、スタンダードシャンパーニュに一部ブレンド用として使われることが多いようです。
最高品質のブドウを使っていたとしても、二回目に圧搾したものはプレステージシャンパーニュには使えない。
シャンパーニュのこういったこだわりこそが、世界最高峰のスパークリングワイン産地という地位を揺るがせない部分なのかもしれません。
ちなみにシャンパーニュ好きの方でも、「ルベッシュ」という言葉は耳慣れないかもしれません。
ルベッシュとは2,550ℓを超えて得られた果汁のことで、清澄された果汁の1割までにとどめられている果汁です。
基本的には蒸留所に送られ、リキュール製造などに供されるといわれています。
贅を尽くしたシャンパーニュ
シャンパーニュ地方はブドウの価格が高く、最上のものは宝石のような価値を持つとも考えられます。
しかし、シャンパーニュは徹底して品質にこだわる産地。
テート・ド・キュヴェを最高品質の果汁としており、それのみを利用するヴィクトワール〈ブリュットNV〉、〈ロゼ・ブリュットNV〉、〈ブラン・ド・ブランNV〉は特別なシャンパーニュであると堂々と紹介することができます。
ぜひ、その魅力をご自身でじっくりと楽しんでみてはいかがでしょうか?