スペインワインの中でも独特な存在感を放つワイン産地が、ガリシア州のリアス・バイシャス。
大西洋の影響を受けることから降雨量が多く、一見ブドウ栽培に適していないよう見えるものの、素晴らしいワインが多く生産されています。
その中でもポルトガルのヴィーニョ・ヴェルデにも使用されている高級白ブドウ品種「アルバリーニョ」が主要品種であり、ヴィーニョ・ヴェルデとはまた雰囲気の違う爽やかで複雑性のある白ワインを生み出す地としても有名です。
ここでは、夏場にぴったりな白ワインを生み出すスペインのリアス・バイシャスについてお伝えしていきます。
リアス・バイシャスとは?
リアス・バイシャスは、スペインのガリシア州に位置するD.0.ワインのひとつ。
入り江を意味するリアスと下部や南部といった意味の言葉をかけあわせた、スペインの北西部、ガリシア州の大西洋に面した地域です。
スペインといえば乾燥地帯といったイメージながら、リアス・バイシャスは大西洋の影響を受けることで年間降水量が約1,800mmほど。
しかし、主要な土壌組成が花崗岩であることから水はけがよく、健全なブドウ栽培には適した産地だといわれています。
5つのサブゾーン
リアス・バイシャスは、ポルトガルの国境沿いのミーニョ川沿い、内陸部、港近くの丘陵地など5つのサブゾーンに分けられています。
北から…
- リベイラ・ド・ウリャ
- バル・ド・サルネス
- ソウトマヨール
- コンダード・ド・テア
- オ・ロサル
となっており、それぞれに特徴的なワインが作られています。
棚仕立てが多い
日本もブドウ栽培が盛んですが、その多くが棚栽培です。
生食用がメインであることや、降雨量が多く高温多湿であることからカビが発生しやすいことが要因とされています。
しかし、なんとリアス・バイシャスでも、多くのブドウ畑が棚仕立てが採用されているそう。
カビなどの病害からブドウを守るために地面から離れたところでブドウを実らせるメリットと、太陽の日射を最大限に活用できるためブドウの樹勢をコントロールしやすいこともメリットとされているようです。
近年では棚仕立ても多くなってきているものの、ヨーロッパでは珍しい棚栽培が今もなおおこなわれている希有な産地といえます。
主要品種について
前述したように、リアス・バイシャスではヴィーニョ・ヴェルデにも利用されているアルバリーニョが多く栽培されています。
その比率はリアス・バイシャスの9割以上ともいわれており、アルバリーニョはこの産地を代表するブドウ品種として扱われているようです。
そのほか、ロウレイラ、トレイシャドゥーラ、カイーニョ・ブランコ、トロンテス、ゴデーリョといった白ブドウ品種の栽培も盛んであり、赤ワインはごくわずか。
主に白ワインやスパークリングワインがこの場所からは多く生産されている傾向にあります。
リアス・バイシャスワインの特徴
リアス・バイシャスの主な土壌組成は花崗岩ですが、より詳しくいえばシャブレ(xabre)と呼ばれる花崗岩が砕けた砂状の土壌は主体。
これら土壌は酸性であることから大変痩せており水はけが良好。
結果的にここで育つブドウには凝縮感が出てくることに加え、海の近くということからミネラル感と骨格のあるワインが仕上がるといわれています。
リアス・バイシャスワインは、品種の特徴として白い花や白桃、柑橘といった香りが感じられ、味わいは骨格とミネラル感がもたらす緊張感が特徴。
爽やかさとフローラルな雰囲気とは裏腹に、ボディがしっかりとしていることから飲み応えのあるワインが生み出されています。
魚介系の料理と相性抜群!
リアス・バイシャスの位置しているガリシア地方には、魚介をたっぷりと使ったマリスカーダといった郷土料理があります。
リアス・バイシャスは大西洋沿いの地域であることから魚介類を多く食べる文化があり、それに合わせてワインも進化してきています。
そもそも、リアス・バイシャスの白ワインは魚介類と合わせられてきた歴史が長く、別名「海のワイン」とも称されているほど。
オリーブオイルをたっぷりと使った魚介のアヒージョやカルパッチョ、アクアパッツァはもちろん、和風の魚介料理とも相性が良さそうな、日本人にも好まれる味わいではないでしょうか。
リアス・バイシャスデビューしよう!
スペインというと、カバやリオハ、リベラ・デル・ドゥエロ、シェリーといった有名どころをチェックしがちです。
もちろん、これらワインも素晴らしい品質ですが、スペインにはまだまだ日本では知られていないワイン産地が数多く存在します。
日本でも手軽にリアス・バイシャスのワインは手に入れることが可能。
ぜひ、一度試してみてはいかがでしょうか?