カベルネ・ソーヴィニヨンほど重くなく、ピノ・ノワールよりはややボリューミー。
ミディアムボディの赤ワインの代表格といえば、メルローではないでしょうか。
ボルドーではブレンドされることが多いメルローですが、世界的には単一品種のものも多く、その丸みと果実味に惹かれるワインファンは少なくありません。
今回、このメルローを少し深堀りしてみたいと思います。
ぜひ、ワイン選びの参考にしてみてください。
メルローについて
メルローは、「カベルネフラン」と「マドレーヌ・ノワール・デ・シャラント」の自然交配産まれた黒ブドウ品種。
原産はボルドーですが、今や世界中で栽培される人気の品種として知られています。
名前の由来はボルドーで多く見られるツグミの一種「メルル」という鳥が語源となっているといわれていますが、諸説あり明確にはわかってはいないようです。
葉は楔形で房は円筒形、下流はやや中くらいか小さく、青みがかった黒色の果実をしています。
メルローの栽培における特徴
詳しくは後述しますが、メルローの特徴は果実味と丸みのある口当たり、強過ぎないタンニンです。
フルボディタイプのカベルネ・ソーヴィニヨンより1週間以上生育が早いことで知られており、収穫を引っぱり過ぎると酸度が急低下するといった繊細な一面も持ち合わせています。
メルローが好む土壌は保湿力のある粘土質土壌といわれており、これら土壌組成が特徴のボルドー右岸では世界最高峰のメルローが数多く生み出されています。
もともと、ボルドーがメルローの理想的な産地であり、続きトスカーナやフリウリといった産地もメルローの名産地といわれてきました。
しかし、栽培技術・醸造技術の目覚ましい発展により、カリフォルニアを中心とした新世界、また日本の長野県のメルローなど、新たな産地が名乗りを上げだしてきます。
メルローの醸造における特徴
メルローは早熟なブドウといわれてきたことから、本来のポテンシャルを出せずにいたといわれています。
前述したように収穫をあと伸ばしにし過ぎてしまうと酸が落ちてしまうこと、さらに病害におかされるといった懸念があったからです。
しかし、醸造家「ミシェル・ロラン」により栽培環境やメルローに適した栽培方法を実践することで、より丸みと果実味、柔らかなタンニンの素晴らしいメルローが生み出されることがわかり、以降ボルドーから素晴らしいメルローが量産されるようになりました。
メルローは低い収量で収穫された後、エレガントな味わいを目指し醸造されます。
軽やか過ぎず、かといって重た過ぎない、リッチでエレガントな仕上がりを求めた繊細な醸造がおこなわれているところが特徴です。
熟成の度合いによって味わいにも大きな変化が出ることから、各醸造家が自由に自分の哲学のもとでメルローを醸しています。
メルローの味わいの特徴
メルローの特徴は、果実味とまろやかなアタック、ほどよい酸とタンニンを楽しめるところです。
“バランスの良いワイン”が多く、ワイン初心者の方での飲みやすいところが魅力でもあるでしょう。
メルローは、産地や栽培方法。熟成期間によって特徴も変わってきますが、主な特徴があるとしたらこのような感じです。
- 外観はやや濃い
- プラムやブルーベリー、カシス、スグリ、ジャムの香り
- ミントなどのハーブ、スパイシーな香り
- 丸みのあるまろやかな口当たりと、強い果実味
- ほど良い酸味と強過ぎないタンニン
- 全体的にバランスのよい、凝縮感のある印象
果実の甘みなども感じられますが、ほのかなスパイス感やハーブの香りはメルローらしさといえるでしょう。
一部、かなりパワーのあるメルローもありますが、多くが前述したような特徴を持つミディアムボディタイプのメルローです。
メルローのペアリング
メルローと合わせるのであれば、焼過ぎていない牛肉のステーキやとり肉の照り焼き、トマトで煮込んだホルモン料理などが良いと考えられています。
しかし、メルローを楽しむのであれば果実味とハーブのニュアンスを生かし、パクチーや中濃ソースを使うような料理もおすすめです。
メルローは、まろやかでボディ感があるものの、タンニンが強過ぎないので性格も穏やか。
ただしハーブやスパイスなど、全体が爽快で引き締まった印象を持ちます。
エスニック系の料理から辛みは少ないもののスパイスを多めに使う中華料理など、少し変化球的なペアリングを楽しんでみてはいかがでしょうか。
メルローはお手軽!
高級なメルローはもちろん多いですが、日本でもメルローのカジュアルなワインが手軽に入手することができます。
単品で飲んでも、ペアリングを楽しんでも、どんな飲み方でも満足できるのがメルロー。
早速今日、ワインショップでメルローを手に取ってみてはいかがでしょうか