ワインの世界では、「テロワール」という言葉がよく使われます。
ラテン語のテラが語源だとされており、チーズやチョコレート、コーヒーなどでも使用されているようです。
ワインにおけるテロワールの解釈は人それぞれですが大まかにいうと、「ワイン造りをする上で原料となるブドウの栽培環境」とされています。
ここでは、テロワールという言葉に包括されているその一部についてお伝えしていきましょう。
テロワールで重要視されている部分
テロワールは、前述したようにブドウの栽培環境に関連している用語です。
土壌、日照時間、気象、土壌中の微生物など、包括されている要素は多岐に渡ります。人的要素もテロワールの一部と唱える方もいますし、テロワールはさまざまな側面から理解されています。
このテロワールですが、とくに重要視されているのが「土壌」と「日照時間」です。
その理由について考えていきましょう。
ワインにおける土壌
ワインの原料となるブドウの栽培環境として、とくに重要なのが土壌組成です。
粘土質、石灰質、粘版岩、花崗岩、砂礫など、ブドウが栽培されている土壌がどのような組成なのか、今もなお研究が続けられています。
また、アルカリ性土壌、酸性土壌、窒素含有量など、その土壌によっても変わってくることから、これもまたブドウ栽培にとって重要な要素となります。
テロワールという言葉を使う時、必ず土壌のことは話題になるので覚えておくとよいでしょう。
ちなみにワイン用ブドウの栽培に理想的な土壌は、主に排水性の良さといわれています。
雨が多かったり、必要以上に水分を溜め込む土壌の場合はブドウ樹が根腐れを起こしたり、酸素不足になってワイン用には向かないブドウが育ってしまうなど、いろいろデメリットがあるようです。
世界の有名ワイン産地の土壌は基本的に乾燥状態で排水性が良いといわれています。
それだけが条件にはなりませんが、テロワールを語る上で土壌について知っておくことはとても重要な要素である、といえるでしょう。
ワインにおける日照時間
品質の高いワイン用のブドウを収穫するためには、日照時間も重要になります。
テロワールを語る方がいたとして、その土地の日照時間は包括されていることでしょう。
当然ですが、ブドウは植物なので光合成が重要になります。
太陽光がエネルギーとなり、空気中の二酸化炭素、水からブドウ糖や酸素、でんぷんなどを作用が光合成です。
ワインにした際に重要な要素となる第一アロマはこの光合成によって生成されるブドウ糖経由で作られるため、光合成が活発であることはワインの芳香を良くすると考えられています。
日照時間が短いと光合成ができる時間が短くなるため、どうしても香味が弱いブドウになってしまう…ということで重要視されているのです。
ちなみに、ブドウ栽培地の「昼夜の温度差」も重要視されています。
植物は温度が高い時に呼吸をよくすることから夜間も温度が高い場合、せっかく日中に蓄えたブドウ糖などを排出してしまうため、ワインになった時の香味に悪影響を与えると考えられているようです。
そのほか重要な要素とは?
ワインにおけるテロワールは、主にこの二つの要素が重要視されていますが、ほかにも多数の要素がふくまれています。
例えば、日照量と排水性に関与する立地です。
有名ワイン産地のブドウ畑は傾斜にあることが多いですが、傾斜であることでブドウによく日光が当たるだけでなく排水性が高まるからと考えられています。
とくに南向きがよいといわれているようです。
また土壌中の微生物の働きが活発であることも、健全で美味しいワインを生み出すブドウを収穫する上で重要といわれています。
また、テロワールにはブドウ品種や仕立て方もふくまれることがありますが、前述した栽培環境に合ったブドウ品種を栽培するというのもひとつポイントです。
粘度石灰質の土壌が多いブルゴーニュであればピノ・ノワール、砂利などが多いボルドー左岸ではカベルネ・ソーヴィニヨン、粘土質土壌が主体のボルドー右岸ではメルローやカベルネ・フランといったかたちです。
これら条件の特徴がよく出たワインは、テイスターたちからテロワールを表現できていると評価されることもあります。
テロワールを表現した…というキーワードがあったら、その栽培環境から生まれるワインの個性を表現できているワインと理解してもいいかもしれません。
ワイン選びに役立てよう
ワインショップのポップやスタッフ、ソムリエなど、テロワールという言葉を使ってワインを紹介することがあります。
その際、まったく理解できないより、少しでもテロワールという言葉を知っていればワイン選びに役立つはずです。
難しく考え過ぎる必要はありませんが、ぜひこれを機会にテロワールについて勉強してみてはいかがでしょうか。