ワインと料理のペアリングを考える際、“道筋”を立てることが重要です。
仕上がっている料理とワインを合わせるのも基本ですが、ワインに合わせてゼロから料理を作成してみることでよりペアリングの成功率が上がると考えられています。
ここでは、フードペアリングのプロセスについてお伝えしていきましょう。
ゴールから考えてみる
フードペアリングで失敗しがちな方は、とにかくワインと料理の要素を考えずに手当たり次第試してまう傾向にあります。
もちろん、ペアリングは失敗がつきものですのでチャレンジすることは問題ありませんが、ある程度自分がどのようなペアリングを作成したいかゴールを設定しておくことが重要です。
例えば、フルボディのカベルネ・ソーヴィニヨンを合わせる場合、
・脂身をすっきりさせる
・ハーバルな風味の親和性を楽しむ
・ワインと料理の双方の魅力をアップさせる…
など、このワインを使った時にどのようなフィニッシュを目指すのか考えることで食材選びも変化していきます。
プロフェッショナルな方であれば、ワイン、食材、調味料などどれを軸にするか決められると思いますが、初心者の方はワインをメインに考えるとフードペアリングをつくりやすくなるでしょう。
食感について考える
次に考えるのが食感。少しオシャレな言葉でいうのであれば「テクスチャー」です。
ワインは液体ではありますが、アルコール度数や温度、成分、香りなどによって口内で感じるテクスチャーに違いがあります。
しっかりと冷やしたシャンパーニュと長期熟成された温度が高めのシャルドネであれば、当然テクスチャーは変わってきます。
前者の冷やしたシャンパーニュはサクサクした食感や歯ごたえのある食材、後者であれば温度の高いクリーム系のソースを使う料理など…食感を合わせてみるとペアリングが成功しやすいでしょう。
しっかりと厚みを感じる赤ワインなら、噛ませる肉類といった感じもオススメです。
食材によっては、生、焼く、蒸す、煮るで食感も変わります。
ワインの食感に合わせたように調整してみてください。
五味で合わせる
食感が決まったら次は五味を合わせていきましょう。
五味は、生理学的な意味から「甘味・酸味・塩味・苦味・うま味」とわけられる5つの味覚のことですが、ワインにも当然これを感じます。
甘味は糖分だけでなくグリセロールや果実味も関連しますし、酸味、塩味・苦味・うま味も十分にワインの要素と考えられるでしょう。
そのワインの五味を書き出し、それに合わせるように食材も味付けしていきます。
科学的にははっきりと示されているわけではないのですが、ピノ・ノワールにはうまみを感じるのでうまみの強いダシ系が合うという話もよく耳にしますし、ミネラル感という言葉で表現されるワインには塩味や海っぽい風味が合うイメージ。
ただし、あまりにワインに寄せ過ぎて食材の味わいが強過ぎるとバランスが崩れてしまうのであくまで繊細さは意識した方が良い結果に繋がります。
アクセントの香りで合わせる
最後は、香りの調和です。
ワインには、果実やハーブ、花、木、スパイスなど多種多様な香り成分が含まれています。
例えば、ソーヴィニヨン・ブランであればグレープフルーツやトロピカルフルーツ、ハーバルなニュアンスなどがあります。
レモンを搾る、ハーブを散らす、ペッパーを散らすなどして料理をワインの香りに合わせていきましょう。
風味という言葉がありますが、まず口の中に入れた時に鼻から抜けて行く香りに親和性があるだけでペアリングが良く感じます。
食材に香りを補うなどそういったペアリングもありますが、少しプロフェッショナルな技術。
少しずつペアリングを研究した後にチャレンジしてみてください。
食べる量などを調整して完成
ここまでうまく進められたら完璧とはいわないまでも、かなり高いレベルのフードペアリングができているはずです。
ただし、最後に注意したいのが量。
ワインが繊細なのに、口に入れる食材がかなり多い場合は少しバランスが崩れますし、パワー系のワインに風味があってもスプーン一杯といった料理では少し物足りない印象になります。
ボリュームバランスもひとつ考慮しながら、ワインを使ったフードペアリングを完成させてみましょう。