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甘口ワインとは?甘口ワインの種類を知ろう!

ワインには辛口と甘口が存在します。

日本では辛口タイプのワインが多く出回っていますが、世界的には甘口ワインも大変人気があります。

しかし、そもそも甘口ワインとはどんなワインなのか分からない、という方も多いかもしれません。

ここでは、甘口ワインの基本についてお伝えしていきます。

なぜワインが甘口になるのか?

甘口ワインと聞くと、「辛口ワインに糖分を添加して造られている」と思う方もいるかもしれません。

一部、そういったワインもあるかもしれませんが、一般的に各国のワイン法で“ワイン”という名称で売るためには添加ではなく、自然に造られた甘口ワインである必要があります。

そもそも、アルコール発酵の原理を知れば糖分を添加する必要がないとお分かりいただけると思うので簡単に解説していきましょう。

ワインにおけるアルコール発酵とは、「ブドウに含まれる糖分(主にブドウ糖、果糖)が、ワイン酵母添加(ブドウに付着している自然酵母の場合もあり)によって、アルコールと二酸化炭素に転換される反応」です。(酵母の働きによって果汁の成分から味や風味どに関連する成分なども生成される)

この時、酵母がブドウに含まれている糖分を全て使い尽くした場合、果汁に糖分は残らずそれらがアルコールへと転換されます。

つまり、辛口タイプのワインが出来上がると想像できるでしょう。

一方、何らかの理由、または意図的にアルコール発酵を途中で注視した場合、糖分が使いきれずに果汁には甘味が残ります。

つまり、アルコール発酵を途中でストップすることで甘口ワインが生まれるということなのです。

甘口ワインの種類

甘口ワインには、いくつか種類が存在します。

ここからは簡単に甘口ワインの種類についてお伝えします。

貴腐ワイン

ボルドーのソーテルヌ地区やバルサック地区、ドイツ、オーストリア、ハンガリーなどで多く造られている甘口ワインのひとつが、貴腐ワインと呼ばれるものです。

貴腐ワインは、貴腐ブドウから造られますが、この貴腐ブドウはボトリティス・シネレア菌(貴腐菌)と呼ばれるカビの一種がブドウの果皮に感染し、条件が整うとブドウの水分が抜け糖度がぐっと高まった特殊なブドウ。

天候や土壌、品種など特殊な条件下でしか貴腐ブドウはできない上に収穫量も減少するため、希少で高額な甘口ワインとなります。

高貴な甘さと風味、シャープな酸味が楽しめる世界最高峰の甘口ワインといっても過言ではないでしょう。

アイスワイン

アイスワインとは、氷結したブドウから造られる甘口ワイン。

ドイツやオーストリア、カナダ、アメリカのミシガンなどが産地としてとくに有名です。

氷結したブドウを醸造に使用すると氷点の違いの関係から甘味を含むエキス分のみが流れ出るため、甘味の強いワインを造ることができます。

各国のワイン法によってアイスワインの原料となる氷結ブドウの収穫時期は厳しく定められており、ヴィンテージによっては収穫されないこともあるようです。

収穫したブドウを人工的に-7℃以下に凍らせてアイスワインを造る「クリオ・エクストラシオン」という製法も存在しますが、自然に造られたものの方が高級品としてア疲れます。

貴腐ワインとはまた違ったピュアな甘さとなめらかな口当たり、長い余韻など、アイスワインも負けず劣らず素晴らしい甘口ワインです。

さまざまな甘口ワイン

甘口ワインは、国によって格付けや呼び方などが違うことがあります。

例えばドイツの場合、発酵前のブドウの糖度などによって格付けが変わることで知られています。

アルコール度数や収穫されるブドウの品質の違いによってカビネット、シュペートレーゼ、アウスレーゼなどに分けられるようです。

また、ハンガリーでは貴腐菌が付着したブドウから造られる「アスー」というものがあり、こちらも残糖分と熟成期間によってタイプが変わります。

一部、リキュールを発酵中に添加して甘口タイプのワインを造るポートワインやマディラというものもありますが、こちらは酒精強化ワインというカテゴリー(アルコール度数が高い)で日本では果実酒ではなく、甘味果実酒という区分けになっています。

甘口ワインを楽しもう!

甘口ワインは単体でははもちろん、スイーツや食事(フォアグラなど)にも合わせられる使い勝手の良いワインです。

さらに、甘口ワインは長期間保存が効くため1本購入したらすぐに飲みきらずにじっくりと楽しむことができます。

本格的な甘口ワインを楽しむ文化はいまだ日本では醸成していないようですが、甘口ワインの楽しみ方を知るだけでワインライフが格段にランクアップします。

ぜひ、甘口ワインにも興味を持ち、辛口ワイン同様、ご自身の日常生活に加えてみてはいかがでしょうか。