「カリフォルニアワイン」というと、ナパやソノマ、メンドシーノをイメージする方が多いかもしれません。
たしかに、これら産地はカリフォルニア州はもちろん、世界的にも注目される高級ワインを生み出す一大産地であることは誰もが知るところです。
しかし近年、ワイン好きの間でセントラル・コーストにある「パソ・ロブレス」に注目が集まっていることをご存知でしょうか。
ここでは、「パソ・ロブレス」とはどんな産地なのか…その特徴について簡単にお伝えしていきましょう。
パソ・ロブレスとワイン
パソ・ロブレスは、セントラル・コーストにあるサン・ルイス・オビスポ・カウンティにあるAVAのひとつ。
サンルイスオビスポ郡の北部に位置しており、数多くのワイン醸造所が点在しているカリフォルニアワインの中ではよく知られた存在です。
ナパ・ヴァレーのようにその名をあまり聞かないことから、“新しい産地”と思われがちのパソ・ロブレス。
じつは古くからブドウ栽培・ワイン醸造が行われていました。
同地域で商業用のワインが造られたのは1882年頃とされていますが、なんと1797年頃にはスペインから派遣されたフランシスコ会の宣教師が教会の儀式に使われるブドウを初めてこのエリアに持ち込んだといわれています。
古くから先駆者たちにワイン用ブドウを栽培するのに適した土地と認められた同地域は、1920年代以降数多くの人々が移住し、徐々に新規ワイナリーが増えました。(データの裏付けがありますか?ジャスティンがパソロブレスに土地を買った1980年頃には、数十件程度しかワイナリーが無かったとのこと)
1960年代から70年代から本格的なブドウ栽培が広がり出し、今では200を超える大小さまざまなワイナリーが設立されています。
日常使いできるカジュアルなワインはもちろん、中には国際的なコンクールで受賞するような素晴らしいワインを生み出す有名ワイナリーもあるなど、カリフォルニア州きっての一流ワイン産地として成長を遂げたのです。
パソ・ロブレスのテロワール
パソ・ロブレスは、12のサブ・リージョンが認定されているほど大きなAVA。
そのためブルゴーニュのようにミクロクリマ的な要素も各リージョンに存在しているようです。
とはいえあらかじめ掴んでおきたいのが、同地域全体のテロワール。
全体像を知り、今後ミクロクリマについて考える流れがよいでしょう。
さて、まず覚えておきたいのがパソ・ロブレスの特徴は西側に山脈があるところです。
結果、海の影響が遮られることから昼夜の気温差が激しくなるため質の高いブドウが育ちます。
そして、ユニークなのが土壌組成。
パソ・ロブレスというと石灰岩知られていますが、そのほか堆積岩、火山岩など40を超える土壌が複雑に入り組んでいるという部分がワイン好きの知的好奇心を高めます。
私もパソ・ロブレス産のワインをいくつか飲んでいますがテイスティングする度に、“カリフォルニアワインのイメージとは良い意味で違う、繊細かつ緻密、緊張感のある芯の強さ”をいつも感じます。
カリフォルニア州の中でも類を見ない希有なテロワール。
だからこそ、「従来のカリフォルニアワインとはイメージの違う…興味深いワイン」がこの地から生まれてくるのではないでしょうか。
品種について
パソ・ロブレスでは、カベルネ・ソーヴィニヨンが多く栽培されていますが、ジンファンデルやローヌ系の品種も多いのが特徴です。
1980年代にシャトーヌフ・デュ・パフで知られるペラン家がパソ・ロブレスの北西部にタブラス・リークを設立。
同ワイナリーがローヌからブドウ苗を輸入した後に他生産者にも提供したことから、ローヌ品種の品質が著しく向上したともいわれているようです。
とはいえ、ボルドー品種の品質が他産地に比べて低いわけではありません。
前述したようにパソ・ロブレスは広大なAVAであり、場所によってはボルドー品種が素晴らしいクオリティに仕上がることでも知られています。
パソ・ロブレスのどこの畑で栽培された、どんな品種のブドウを使ったワインなのか…。
同じ地域でありながら、こういった楽しみ方ができるのもパソ・ロブレスの魅力のひつつかもしれません。
魅力に溢れた産地 パソ・ロブレス!
ワインファンの中では、「パソ・ロブレスは新たなワイン産地」というイメージかもしれません。
じつはパソ・ロブレスはクラフトビールの醸造所やアルコール製造を行う醸造所などが多く集まった産地で、いろいろなジャンルのアルコール生産者が入り乱れるユニークな場所として知られています。
さらに旅行好きの方であれば「パソ・ロブレスは温泉地!」という方もいるでしょう。
事実、「カリフォルニア州最古の泉の場所」ともいわれているなど、ちょっとした観光地(温泉地としての)としてアメリカ人たちにも人気の都市なのだそうです。
もちろん素晴らしいレストランあるので食都として一面も…。
このようなさまざまなカルチャーが互いに共存する場所だからこそ、パソ・ロブレスのほかにないワインの味わいが生まれているのかもしれません。
パソ・ロブレスは面白い!
今後、どんどん探求したくなるワイン好きなら無視でない産地なのではないでしょうか!?