グラン・クリュ村「ブージー」の半分を所有している?「ヴィクトワール」がスゴい理由『自社畑編』!

シャンパーニュ「ヴィクトワール」は、モンターニュ・ド・ランス地区のグラン・クリュであるブージー(Bouzy)におよそ50%の自社畑を所有しています。

ピノ・ノワールで大変有名なこの地区に畑を多く所有しているということは驚くべきことです。

とはいえ、こう思う方もいるかもしれません。

「そもそもグラン・クリュって何?何がすごいの?」と。

ここでは、シャンパーニュにおけるグラン・クリュやプルミエ・クリュについて簡単に説明していきます。

シャンパーニュとブドウ

シャンパーニュで栽培されているブドウ品種は、主にシャルドネ、ピノ・ノワール、ムニエの三品種。(ほか、古代品種と呼ばれる四品種もわずかながら栽培されている)

シャンパーニュは冷涼な気候かつ75%が石灰質の土壌ということもあり、前述した品種の栽培に適した産地といわれています。

しかし、当然ながら収穫される地域や村によってブドウの品質に差があります。

どの産地で栽培されたどんな品種なのか。

シャンパーニュでは基本的に、こういった部分が重要視されているのです。

高額なブドウと土地

シャンパーニュにおけるグラン・クリュについて解説する前に、なぜヴィクトワールがすごいのか…それを裏付けるお話をしておきましょう。

冒頭、ヴィクトワールは『モンターニュ・ド・ランス地区のグラン・クリュであるブージー(Bouzy)におよそ50%の自社畑を所有している』とお伝えしました。

まず、シャンパーニュで収穫されるブドウはフランス国内でもとくに高額な取引価格であるといわれています。

2011年頃の話ですが、当時でさえシャンパーニュで取引される原料ブドウの価格は1kg=5.5ユーロ(当時の日本円で600円ほど)だったといわれており、明かに他産地に比べて高額です。

さらに、シャンパーニュ地方はブドウ畑1haの土地代がおよそ日本円で2億円ほど…。(現在は多少前後していると思いますが)

土地、ブドウ全てが高額であるシャンパーニュである上にグラン・クリュというトップレベルのブドウ産地を生み出す村となれば天文学的な価格になりそうな予感です。

ちなみに、ヴィクトワール有するG.Hマーテル率いるラペノー家は、自社畑を200haを所有しているほか、栽培農家と契約をしている畑が700haといいます。

ヴィクトワールの品質が高い理由は、こんなところにもあるのかもしれません。

グラン・クリュとプルミエ・クリュ

主題とは少し話がズレてしまいましたが、シャンパーニュで多く畑を所有していることがどれだけすごいことが理解いただけたと思います。

ここからはシャンパーニュにおけるグラン・クリュ、さらにそれを受けてのプルミエ・クリュについて解説していきたいと思います。

格付け

ワインにおけるグラン・クリュというと、ブルゴーニュ地方の格付けを想像する方が多いかもしれません。

しかし、ブルゴーニュが畑の格付けを意味するのに対し、シャンパーニュは一つの村が一つの栽培単位として格付けされています。

つまりシャンパーニュにおけるグラン・クリュやプルミエ・クリュは村のことであり、一般的なシャンパーニュ用のブドウ栽培をする村のブドウより品質が高いと認められているということです。

では、グラン・クリュとプルミエ・クリュとをより詳しく見ていきましょう。

格付けの元となったもの

グラン・クリュとプルミエ・クリュは村。そう教えられても、何がどうグラン・クリュなのか理解できない方もいると思います。

少々複雑なのですが、せっかくですので覚えておきましょう。

まず、グラン・クリュやプルミエ・クリュといった格付けは以前にエシェル・ド・クリュと呼ばれるブドウ買い付けの際の価格を決定する独自制度が元になっているといわれています。

今では廃止されている制度であるものの、そのブドウの品質は今もなお高いといわれており高値で取引されています。

グラン・クリュとプルミエ・クリュの村

さて、グラン・クリュとプルミエ・クリュのブドウを使用している場合、多くはラベルにそれが記載されています。

グラン・クリュの場合、100%に査定された村で造られたブドウを100%使用することが条件。

プルミエ・クリュの場合は90〜99%に査定された村で造られたブドウを100%使用することが条件となります。

少し複雑ですが、要するにグラン・クリュ村のブドウを100%使ってシャンパーニュを造った場合、ラベルにグラン・クリュと記載できるということがワイン法で定められているということです。

ちなみに、シャンパーニュにはAOCシャンパーニュの認定を受けている村が300以上ありますが、そのうち17村がグラン・クリュ、40を超える村がプルミエ・クリュとして認定されています。

グラン・クリュに認められている17村を一覧にしました。

  • コート・デ・ブラン地区
    シュイイ(Chouilly)
    クラマン(Cramant)
    ル・メニル・シュル・オジェ(Les Mesnil-sur-Oger)
    オジェール(Oger)
    オイリ(Oiry)
    アヴィズ(Avize)
  • モンターニュ・ド・ランス地区
    アンボネー(Aombonnay)
    ボーモン・シュル・ヴェスル(Beaumont-sur-Vesle)
    ブージー(Bouzy)
    ルーボワ(Louvois)
    マイイ(Mailly)
    ピュイジュー(Puisieulx)
    シルリ(Sillery)
    ヴェルズネー(Verzenay)
    ヴェルジ(Verzy)
  • ヴァレー・ド・ラ・マルヌ地区
    トゥール・シュル・マルヌ(Tours-sur-Marne
    アイ(Ay)

広大な土地を有するシャンパーニュ地方で、グラン・クリュに選ばれているのはわずか17村だけ。

そのうちのひとつ、「ブージー」の約半分以上の畑を有しているヴィクトワールがどれだけすごいことなのか、よくわかっていただけたのではないでしょうか。

思いを馳せながら楽しむ

グラン・クリュだから美味しくて、そうでなければ美味しくない。決してそういったことではありません。

しかし、歴史上グラン・クリュとして認められてきた村のブドウを使用している…ということは意義あることでしょう。

ヴィクトワールは古い歴史を持ち、広大な土地を所有する名門です。

同ブランドの品質の高さの秘密は熟成期間の長さなどからだけでなく、こんなところからも読み取ることができるのではないでしょうか。

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